シルバーウルフ -Is this love?-
命拾いしたこと。それを神に感謝して作った歌詞。それ以後も奴隷船の指揮官を続けていた男が作った歌詞。




そんな自分勝手な内容とも知らずに、女囚たち、老人たち、新郎新婦たちは、俺たちの“Amazing Grace”で涙を流した。



……恐らく、今日、火葬された、母親って女も。







少なくとも、俺は1度たりとも自分が歌いたいって意思で“Amazing Grace”を歌ったことはなかった。何故なら、単に神父に言われるがまま、歌わされていただけのことだからだ。





それを聴いた奴らの心など、知ったこっちゃなかった。





むしろ、奴らの無知な涙を、腹の中で心底に軽蔑(けいべつ)していただけだった。









< 209 / 232 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop