シルバーウルフ -Is this love?-
「で、本題に移らせてもらうが、“スナック シャドーロール”が売春の斡旋をしてるだと?よくも、俺をペテンにハメてくれたな?プンプン匂ってたが、まさか、お仕置きに母親ってのを殺しに行かせるとはな。」

胸ぐらを掴まれて、息苦しそうな裕太。俺と目を合わせずに、自分の下のまつ毛を見るように視線を落としていた。





「裕慈……、メイを裕香に渡すんだ。」

裕太のピンボケな返答。この期(ご)に及んで、神父への服従の要請。





「で?断ったら、次は俺に自分の父親ってのを殺させるってか?」





「お前の父親はこの世にいない。お前の母親が殺した。」

裕太からの不意打(ふいう)ちでの嘆(なげか)かわしい暴露。俺は舌打ちを堪(こら)えた。





施設には、色んな種類の孤児がたくさんいた。


 親に捨てられた孤児。

 親と死別した孤児。

 親が刑務所に行った孤児。


母親ってのが死んだ今日、俺は2つの理由を背負っていたと知った。




そんな、ぶつけようのない不条理に対する怒り。それが、怒濤(どとう)のように、俺の脳細胞の隅々(すみずみ)に広がっていった。








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