シルバーウルフ -Is this love?-
玄関扉を開けて入室した。

玄関の床は大理石調。

靴を履いたまま奥へ進む。

間取りは4LDK。


リビングには南部の妻が俺に気付かずソファーから薄型テレビを眺めている。



「おい。」

俺のその声に反応して振り返る。

けたたましい叫び声をあげる。


南部を呼ぶ手間が省ける。

しかし、さずかに5秒以上は長いだろう……と思い

風呂上がりで化粧のない顔面を右足で蹴りあげた。



南部の妻は大袈裟にリビングテーブルまで飛んだ。

電池の切れたワイヤレスマイクになって、叫び声は止んだ。




「なんだ?君はだれだ!!」

南部がリビングの右奥の部屋から出てきた。

棒読み大根役者のようなセリフ。


挨拶代わりに南部の右足にサイレントを弾いた。


すっ飛ぶ南部。


低い声で喚(わめ)き散らしやがる。





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