シルバーウルフ -Is this love?-
急斜面の1本階段を上がる。

1つずつの階段の踏み幅は極端に狭い。

女がピンヒールで昇るなら、凍った雪山と同じくらいに危うい。




階段を昇きる俺。

入り口扉のアクリル看板。

「中国エステ 夜来香」

夜来香(イエライシャン)
夜に香る花の名前。







打ち合わせをした間取り図を思い出してみる。

扉を開ければすぐ前に受付。

その右にカラオケボックス程度の広さの待合室。

左には全長15か?20か?そんくらいのメートルの1本廊下。

廊下に沿って個室ブースが合計で8つある。


1本廊下の突き当たりに事務所。

その左側にシャワー室。

シャワー室の奥、分厚い扉の向こうに託児所代わりの倉庫。





 ……だったと

 思う……。


思い出したが、医院の窓からの木漏れ日が真っ先に頭に浮かぶ。


裕太の話、邦明の図面よりも、あくせくの“あ”の続きが気になっていた。



店の扉を開けた。


「いらっしゃいませ。」の声。


店員はワイシャツに真っ黒いパンツ姿。




ひねたスマイルで俺たち4人を出迎えた。






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