蜃気楼。
ちょっと乱れた髪を戻しながら、

「まお?
なんで、走ったの?」

ってもう一度聞かれた。

「走りたかったから。」

そのまま言うと、

「まおって、天然!?」

って、言われた。

別に天然じゃないけど。

「ってか、足速いねぇっ★」

って、ニッコリ微笑むサユリ。


「アリガト。」

表情一つ変わらない私を、

「まぉ、カワイイッ♥」

そう言って、

ギュゥゥッと抱きしめるサユリ。

途端にほわぁっと香る、香水の香り。



サユリは、ギャルだけど、

そんなにしつこくなくて、

香水もそんなにキツくない。

メイクだって濃いけど、

他のグループに比べたら、

全然イイ。




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