蜃気楼。
一度通り過ぎたが、
もう一度戻り、マジマジとみると、
それはやっぱり女子高生だった。
真っ黒で綺麗なサラサラの長い髪。
長い睫毛。
キツく結ばれた紅い唇。
かなり、カワイイな。
そっと隣に座り込むと、
ふわぁっと髪が軽く浮いた。
とたんに香る甘く、優しい香り。
香水?
そっと髪に触れると、
優しく香る優しい香り。
心地よい。
ふと、少女の頬を触ると、
びっくりするぐらい、冷たかった。
急いで革ジャンを脱ぎ、
少女にかけた。
が、やっぱ寒いよな。
仕方ない。
俺は少女をおぶり、
元来た道をまた戻った。