蜃気楼。
「恥ずかしいんだけど。」

ボソッと呟くも聞こえる訳ない。

「まぁ、いっか。」


学校。

ガララッ
勢いよく開くドア。
集まる視線。
俺に近づく一名の男子生徒。

「尽ー。」
「はよ。」

俺の名前を叫ぶコイツは、
佐々木涼太。俺の親友。
俺と違って愛想が良く、
先生ウケがカナリいい。
んで、いつもニコニコしてる。

けど今は…焦ってる?

「尽やべえ。教科書忘れちったぁ。」

「アホだろ。」

「って、即答かよー。」

「何忘れたの?」

「全部。」


って、全部!?

ハハハッ、アハハ。

思わず俺は大爆笑。




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