蜃気楼。
ふとみると、机の下にはペンが落ちていた。

ペンだったのか。
ってか、意外に痛かった。

落ちていたペンを拾うと、
涼太はイヒヒッと笑った。

「騒がしいわねー。って涼太君?」

「あの、先生。今日僕、具合が悪いんですけど。」

本当に具合が悪そうにする涼太。

「あらー、大変じゃないの!!
保健室行きなさいよ。ほらっ、鬼追君も一緒に。」

って俺も!?

成り行きというかなんというか…。

俺は今、涼太に付き合わされている。

ここは保健室前。

「失礼します。」

保健室のドアを開くと、
ほのかに香る、消毒液の香り。

「はぁーい。」

ひょこっとか
顔を出したのは、保健の須山。

須山。本名『 須山奈緒美』。
漫画に出てくるような綺麗な教師。

若者らしい明るい服装を好み、
明るい茶色に染められた髪は
毎日綺麗に結われている。
生徒の中でも人気の高い教師だ。


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