蜃気楼。


ガラガラッ
教室のドアを開ける。

「結川ー。今日はどーしたぁ?」

話し掛けてくる教師。

面倒クサッ。

「…寝坊しただけです。」

すんなり理由を述べる。

「そーかぁ?珍しいなぁ。」

疑うような視線で私を見る

「本当です。」

今度は、少し強目に言う。
だって、本当のコトだし…。

「まっ、たまにはあるさぁ。気にすんなぁッ。」

って、気にしてないんだけど…。

「明日からは、気を付けろよー。」

「はい。」

それだけ言って席につく。

「結川さんが寝坊!?」
「珍しくねぇッ?」
「ってか、有り得ねーだろ。」
「何かあったのかな?」

途端に始まる。噂話。
ただ寝坊しただけだし。

「あーじゃぁ、続きを…山田、読めっ。」

授業が始まった。

「はい。」

指名された生徒が教科書を読み始める。

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