蜃気楼。
プチッ。

一方的に切られた電話。

「ふぅっ。」

軽く溜息をつき、周りを見渡すと

………ガン見されていた。


「サユリって河野?」
「結川さんって、河野と知り合いなの?」
「えぇっ! マジで!?」
「似合わなくない?」
「河野かよー。」
「河野とか、キモくねぇ?」
「THE・高校デビュー ?!」
「アハハハハ。」
「ウケるー。」
「笑うなよー。」


噂話スタート★


うるさいなー。

というか…サユリって嫌われてんの?

ナゼ?

まぁ私もあんま知らないけど…。
サユリのコトって。

昨日始めて会ったし、
名前なんてずっと知らなかった。

から、サユリが周囲にどう思われているかなんて
知るはずもない。

幸い、周囲の視線とかには慣れてる。
だから私は、堂々と屋上に向かった。

私を呼ぶ教師の声なんて気にもせずに。

サユリを揶揄するクラスメイトも睨みつけながら。

ただ、無我夢中で。
風を切って走った。








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