蜃気楼。
「ん?」

「どーしたの?浮かない顔してる。」

モエになら…聞いてもいいかな?

「聞きたいコト、あるんだけど。」

「何でも答えるよ?」

「ちょっと外…。」

言葉を濁すと、
私の気持ちを察したのか、

「外行ってくるネ。」

サユリにそう告げた。

サユリは、
モエ~、浮気禁止ぃ~って騒いでた。

ガチャり。

一階、降りる。
二人とも無言だ。

階段に腰掛ける。

「みんなの前では言え無い話ってナぁ二?」

私は、淡々と
話し始めた。

「サユリって…嫌われてんの?」

「なんでそう思ったの?」

ほんの少しキツくなる口調。

「今日ちょっとあったから。」

「ふ~ん。何聞いたのか分かんないけど…
ウチらにとって、サユリは、
大事な、大切な友達だから。」




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