蜃気楼。
「もうサユリのコト
んな風に言う奴少なくなったけど…
まだ完全ではないんだ…。」
辛そうに俯くモエ。
「けど、ウチらはサユリのコト
そんな風に思ったコトないし。
サユリのコト、何より大切だと思ってる。」
「サユリが、ギャルになったのは、
表面上を飾る為だけで…
実際にサユリの中は、
もうぐっちゃぐっちゃ。
けどサユリは…必死で今の形を保ってるんだぁ。」
だから…と言ってその場に立つ。
「サユリのコト、傷つける奴は許さない!! 」
声を荒げ、キツイ口調で言う。
けどその時私は、
サユリの過去がどんななモノであろうが、
関係無い。
そう思っていた。
バカだよね。本当。
あの時、この忌々しい未来が見えていたら。
って何回思った事だろう。
今更なのにね。
…本当、今更なんだよ。
もう、遅いんだ。
時間は戻ってはくれない。
一秒一秒、
どんどん未来は過去に変わっていく。
確実に…
少しずつ…。