蜃気楼。

Jin ⅱ

サァァッー。

開け放たれた図書室の窓に
入ってくる肌寒い風。

「………。」

目ぇ覚めた。

…何時の間にか、夢を、見ていた。
昔の懐かしい、苦い想い出を…。


ふと頬に手をやると、
頬は涙で濡れていた。

「ふっ。」

思わず笑みが零れる。

もう、何年過ぎたと思ってんだか。
いい加減俺も成長しないかねー。

ゴシゴシと服の裾で涙
を拭く。

「帰るかッ。」

俺は鞄を取りに教室に向かった。

教室で鞄を取り、
保健室に向かう。

ドアを開けると、
資料の整理をしている須山がいた。

「あら、鬼追君じゃない。
りょーちゃん、寝てるわよ?」


指差されたベッドのカーテンを開ける。
そこには、携帯でメールをする涼太がいた。

メールに夢中で俺に気付かない。

「具合はどーすっかぁ?涼太君。」

わざとらしく明るい声を出す。

「っと、尽かい。ビックリしたぁッ。」










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