蜃気楼。
「ハハッ。ってか何してんの?」

「メール。姉ちゃん、彼氏に振られたって。」

さも嬉しそうに言う。

「佳代振られたの?」

佳代っていうのは、涼太の姉貴。
凛とした顔立ちに似合わず、
話してみると意外に親しみやすい。

「バカだよなー。何人目だっけ?」

こんな事言ってるけど
実は、涼太はシスコン。

佳代の彼氏に必ずと言ってイイ程
イチャモンつけてる。

「覚えてない。」

佳代の彼氏の人数とか知るか。

「うん。11人目だ。」

覚えてんのかよ!
シスコンだな、やっぱ。

「ついに10人超えたな。」

佳代は俺が言うのも何だが、整った顔をしている。
から、モテるんだな。

けど、佳代の趣味が…
佳代は、『男はヤッパリちょい悪でしょ。』
とか言ってて。
しかも、佳代のちょい悪は本職だったり
もする…。

もう既にちょい悪じゃないっつーの!!

けど、遊ばれて終わるのがオチ。
だから、もうこんな人数になっちまう、と。

「涼太、

ヴーヴー、ヴーヴー。

涼太に喋りかけようとした瞬間、
俺の携帯が鳴った。

< 68 / 108 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop