蜃気楼。
正直、人に笑われるのはあまり好きじゃ無い。
というか、好きな人っていないと思う。
けど、なぜか隣で笑うモエには、そんな感情が全く浮かばなかった。
ただ、モエの笑顔が眩しく感じただけ。
「真央って、面白いね!」
「…………。」
「真央のこと、正直疑ってたんだけど…見直した!
なんか取っつきにくいイメージだったんだけど…全然そんな事ないじゃん!」
「それは、どーも。」
「真央と友達になれて、本当に良かった!」
ニコッと満面の笑みを浮かべるモエ。
「ところで…はやく帰ろ?」
「そだね!行きましょーかッ。」
すっかりテンションが高くなってしまったモエは
上機嫌で、階段を駆け上がっていった。
「真央、おそーい!」
先に上がったモエにそう言われ、私の中の
負けず嫌い魂が、燃えたぎった。