あたたかな雨
第一章 / 傘と彼
6月の空は、灰色に染まっていて、今にも雨が降ってきそうだった。
授業を終わりを告げるチャイムの音が、学校中に鳴り響く。
先生が教室から出て行く。
今日はこれが最後の授業だった。
ざわざわと教室が少しだけ賑やかになった。
今日は火曜日。
私は図書委員で、今日が当番の日だった。
図書委員の仕事は好きだけど、こんな空模様の日はなかなかやる気がしない。
この雰囲気だと、絶対に雨降ってきそうだし。
しかも今日は妹に傘を貸していて、持ってこれなかった。
それでも委員の活動をさぼる気にもなれなくて、重い足でとぼとぼと図書室に向かった。