桜が咲く季節も。


電車に乗り込む。
美咲がとなりにいるだけで、こんなに心強いなんて思わなかった。
同じクラスになりたいな。さっきの桜に想いを込める。
それから30分は短く感じた。

「美桜~、緊張してきた」

美咲の言葉を聞いて、忘れていた緊張が目を覚ます。

駅から5分ほどで着く、桜丘高校。
たくさんの、人。みんな1年生なのかな?

「美桜~?大丈夫?」

笑顔で返事を返し、桜丘高校の校門をくぐる。

たくさんの人が向かうのは、中庭前の掲示板。
どうやらクラスは6組まである。

「ねぇ、美咲。後で見に来ない?」

人の多さに驚いた。
一度落ち着きたかったあたしの意見に、美咲も賛成してくれた。

高校は中学とは、そんなに変わらない。

中庭もある、校庭もある、体育館もある…。

体育館裏がある。そっと覗いてみた。

「うわ~、きれい…」

何十本もの桜が、大きく咲き誇る。
こんな綺麗な桜の木があるなんて、知らなかった。

あたしの思い出の場所は、これからここになるんだ。

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