溺愛キング
「あれっ………ダーツのことはいいんだ。」


雅司がなおも矢耶を抱きしめながら聞いてきた。

矢耶も雅司に抱き着いたまま顔だけを動かして俺を見上げてきた。

その態勢にこめかみがぴくっと動いた。


『ダーツはあと………………だ。あとでいいんだよ。今はそれよりいつまで引っ付いてんだって言ってんだよ、雅司。早く離れろ。』

「ダーツはいいって。よかったね矢耶ちゃん。あとでしよっか。」

『なっ!誰もダーツはいいと「やったぁ〜雅司はダーツ上手いもんね!」』


俺の話も聞かず矢耶は話を進めていく。

雅司はちらっと俺を見てにっこり笑ったかと思えば


「そんなことないよ。練習すれば矢耶ちゃんも上手くなるよ。」

「ほんと?矢耶頑張ろっと!」

「じゃぁこの作業が終わったらやろっか。先に行ってて。」

「はぁーい!楽しみ〜
あっ藍!!行くよー」


なっ…………なんだそれ。

今日は総長室で矢耶と2人誰にも邪魔されず過ごすつもりでいたのに。

来る途中まではいい雰囲気だったはずだ。



ポンッ―――――――………


肩に重みを感じた。
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