溺愛キング
「矢耶ちゃん、やっぱ藍飛なんかやめて俺にしない?あんなことで怒るんだよ。俺の方がよほど大人だよ。」


クスクス笑いながら矢耶の頭を撫で続ける。

正司には彼女いるだろ。

何言ってんだか。

俺は不愉快な気分だ。

けど、ここでまた嫉妬したら今度こそ矢耶に捨てられるな。

それだけは勘弁。

俺もさ、そこまで馬鹿じゃないからな!


「んー……」

「えっ?矢耶ちゃん悩んでくれんの?」

「ん〜」

「まじかよ…どーしよ俺。矢耶ちゃんに告られちゃったよ。」

『…………。』

「いやいや。正司さん、矢耶ちゃんから告られてないっすよ!何をどーとったらそんなことになったんすか!藍飛さんも何とか言って下さいよ!」

『…………。』

面子が適確に正司に突っ込む。


「何言ってんだよお前ら。今、矢耶ちゃんが俺にしようかなって言ったじゃねぇか!」

「いやいや!正司さんこそ何言ってんすか!矢耶ちゃんは"んー"としか言ってないっすよ?!ねっ?矢耶ちゃん!」

「正司に彼女いなかったらよかったのにねー」

「矢耶ちゃん!ほんとっ?!」

『…………。』


何やら矢耶と正司、2人だけの世界になっている。

そんな中、不機嫌な男がいた。
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