溺愛キング
俺は矢耶に回してた腕を離した。

なんか、俺、めっちゃ泣きそう。

嫉妬とかそんなん通り越えて泣きそう。


「あお?どーしたの?嘘だよ?矢耶には藍だけっていつも言ってるじゃん。ねっ?正司に彼女が居ても居なくても一緒だよ。」

『……………。』


矢耶は抱き着く力を強めて俺を見上げる。

少し複雑な気分。

けど……


もう矢耶なんか知らねぇ。

知んねぇから。




俺は拗ねた。


矢耶を見下ろす。


あ――――………
矢耶かわいい。

抱きしめ返したい。


けど、今日はしない。

俺は拗ねたんだよ。


「あお?ねぇ、聞いてる?」


矢耶の腕を名残惜しくも離した。


「へっ?なっなに?えっ?藍どーしたの?」


びっくりした矢耶は少し動揺している。


『もう好きにしろよ。俺は先に行くからなっ!』


言ってやった。


「藍?!」
「「「藍飛さん?!」」」
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