溺愛キング
矢耶と面子のびっくりした声が聞こえてくる。

正司なんか「あーぁ」なんて言ってため息をつく。

あーぁ、と思うのは俺の方だ。ため息をつきたいのは俺の方だぁ――――!!!!

矢耶とイチャイチャ出来たのに出来なくなりそうだし、矢耶を泣かしてしまったし、おまけに拗ねてしまったから余計イチャイチャ出来ねぇ!!

ようは矢耶とイチャイチャしたかったんだよ。



けど、まぁ、俺が拗ねたから矢耶は明日まではずっと俺に引っ付いてるはずだ。

ダーツとか忘れて俺の機嫌をとるのに必死になるはず。

俺的には嬉しい限りだが。笑



カツカツと靴の音を鳴らしながら部屋に向かう最中、俺はそんなことを考えていた。


「まっ待ってよ藍!!」


矢耶が走って追いかけてきた。


「「「矢耶ちゃん頑張って!!!」」」


面子たちの不安まじりの声が遅れて聞こえてくる。

なにが矢耶ちゃん頑張ってだよ、俺は何者なんだ。

お前らが心配するようなことはしねぇーよ。

今から俺と矢耶はイチャイチャするんだっ。

ずっと拗ねてるわけないだろ。

矢耶が謝ったら許さねぇ方がおかしいな。
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