溺愛キング

とりあえず、俺はバイクで思い当たるとこを探した。

近くの公園、たまり場、学校、正司の家、もちろん翼の家も…

けど、何処にもいねぇ。

一旦、道の端にバイクを止めた。


他に矢耶が行きそうなとこなんてもうない。

もしかして、類さんのとこか…?

いや、そんなことはない。

頭をフル回転させてるのに分からない。

見つけたいと思う気持ちが募るばかりで、ただただ時間だけが過ぎていく。

矢耶は携帯を持って出てなかったから連絡も取れなければ、居場所も分からねぇ。

どーしたらいいんだよ。

焦るばかりで、さっきから何の連絡もこない携帯を、開いては閉じ、開いては閉じ、の繰り返しばかりしている。


『ちくしょっ!何でだよ!何処にいんだよ!』


行き場のない怒りが込み上げてくる。

近くにあった壁を思いっ切り叩いた。

このままじゃぁ、ほんとに見つからねぇよ。

何か他に探す手段はないか…


一番したくないことだが、類さんに手を借りるか…梁翔さんにもお願いするか…

その前に梁翔さんにまだ連絡していない。

連絡する前に見つけれるつもりだった。

だからしてなかった。

けど、このままでは時間が過ぎていくだけで、何も始まらない。
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