溺愛キング
とりあえず俺はもう一度、たまり場に向かった。

もしかしたら、何か連絡とかきているかもしれない。

たまり場には連絡係の奴らがせわしなく動いていた。

その中の一人が俺に気付き


「藍飛さんっっ!」

『矢耶はまだ見つからねぇのか』

「すっ、すいません!みんな全力で探してるんすけどまだ見つからなくて…」

『傘下の奴らも加わってるんだよな?』

「はっはい…eagle系列のチームには全員に捜索にあたる様、連絡しました」

『ちっ、それでも見つからねぇのかよ。ほんとに探してんのかぁ?!あ゙?!』

「っっ!!すっ、すいません!」


バシッ――――……


『いっ…!』


いきなり頭に衝撃がはしった。


「藍飛っ!あんた、キレる相手間違ってるわよ!原因は自分でしょ?!あんた何様?!関係のない子にキレてんじゃないわよ!そんなんだから矢耶は家出したのよ!矢耶が家出したくなるのも分かるわ!」


胸倉を掴まれてやっと、海亜に叩かれたんだと気付いた。

そんなやり取りを見てすかさず翼が海亜を止めた。


「海亜!それくらいにしとけ。少し言い過ぎだ」

「翼、うっさい。藍飛、このまま矢耶が見つからなかったら、分かってるんでしょうね?矢耶になにかあったら…あんた、ただじゃすまさないわよ。見つけ出せなかったら、死んだも同然だから」


男の俺でもびっくりする様な低い声に、ものすごい睨み。

周りの奴ですら、息を飲んだ。
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