溺愛キング
「海……亜…」
翼がやっとの思いで出した言葉はあまりにも弱々しいものだった。
振り払われた腕をもう一度伸ばして海亜に近付く翼。
元から気の強い海亜だが今日の様な海亜は初めてだ。
矢耶が家出するなんて想像もしなかったことだから。
その様子を俺はただ黙って見ていた。
その時、掴まれていた胸倉がさらに締められた。
グッ――――……
「藍飛、分かってんの?返事がないけど…」
翼なんて視界にすら入れていない海亜は、まだ俺を睨んでいる。
『わ……かった。分かってる。苦しいから離せ。こんなことしてる時間が…もったいないだろ』
半ば強引に海亜を離した。
少しよろけた海亜。
「海亜、大丈夫か?」
翼は海亜を抱き留めると
「藍飛、お前なぁ…今回はどんな事情があろうともお前が悪いと思う。しかも、海亜に八つ当たりすんなよ。俺キレるぞ。分かってんのか?ただでさえ、矢耶が居なくなって頭が狂いそうなのに、お前、ほんと反省してんのか?」
頭が狂いそうなのはこっちだ。
って、翼にキレても意味ねぇな。
あぁ、ほんと俺、何やってんだよ、情けねぇな。
翼がやっとの思いで出した言葉はあまりにも弱々しいものだった。
振り払われた腕をもう一度伸ばして海亜に近付く翼。
元から気の強い海亜だが今日の様な海亜は初めてだ。
矢耶が家出するなんて想像もしなかったことだから。
その様子を俺はただ黙って見ていた。
その時、掴まれていた胸倉がさらに締められた。
グッ――――……
「藍飛、分かってんの?返事がないけど…」
翼なんて視界にすら入れていない海亜は、まだ俺を睨んでいる。
『わ……かった。分かってる。苦しいから離せ。こんなことしてる時間が…もったいないだろ』
半ば強引に海亜を離した。
少しよろけた海亜。
「海亜、大丈夫か?」
翼は海亜を抱き留めると
「藍飛、お前なぁ…今回はどんな事情があろうともお前が悪いと思う。しかも、海亜に八つ当たりすんなよ。俺キレるぞ。分かってんのか?ただでさえ、矢耶が居なくなって頭が狂いそうなのに、お前、ほんと反省してんのか?」
頭が狂いそうなのはこっちだ。
って、翼にキレても意味ねぇな。
あぁ、ほんと俺、何やってんだよ、情けねぇな。