溺愛キング
さっきまで海亜がキレてたのに今度は、翼の顔が険しくなった。


「どうせ、矢耶の気に食わないことしたんだろう?」


確かに気に食わないことしたけど、それはお前のせいだろ。

面と向かって言えない俺は心の中で翼に毒づいた。


「なんだよ。図星か?」

『お前が買ってきた珍しいプリンとやらを、食った。それだけだよ』

「「は?」」


見事に二人の声が揃った。


『なんだよ…』

「プ、プリン?」

『あぁ、つ・ば・さ!が買ってきたやつだとよ』

「そーいえば、翼が買ってくれたプリンが、どうのこうのって、矢耶が言ってた気がする…」

「藍飛、そりゃぁ矢耶キレるわ。だって、あれは普通じゃぁ手に入らねぇよ。俺がいろいろ根回しして、やっと手に入れたやつだぞ。前から矢耶が言ってたやつじゃないか。覚えてないのか?」

『んなもん、覚えてるわけないだろ。あん時はやけ食いしてたんだから、気にもしなかった』


二人とも目を点にして俺を見ている。
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