溺愛キング
「矢耶おいで」


我が物顔で人様ん家のソファーに座る藍に手招きされた。

藍の前に立つと腕を引かれた。


「待っとこうぜ。おかげで心配せずにすんだ」


藍の膝の上に座り、頭を撫でられる。


「あ〜、やっと実感」


藍はそう言うなり矢耶を抱きしめてきた。

さっきから矢耶はされるがまま。


「もうあんなこと言うなよ。分かったな?」

『分かったけどー…』

「今日はたっぷりお仕置きしてやるからな。あ、そーだ、買ったあの下着着ろよ?」

『え』

「今晩楽しみだな」


藍は訳ありな笑顔を見せた。

まだ、不安も何もかも残ったままなのに。

何故か藍に抱きしめられると、そんなことも忘れてしまう。


『海亜ん家って分かってる?』

「俺には関係ねぇ」

『もぉ…』

「ほんと、矢耶は可愛いな」

『なっ!』


不意打ちだ。

今日の藍は要注意だ。

あんだけ機嫌悪かったのに、今はこれだ。
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