溺愛キング
『あぁ。今終わった。待たせて悪かったな。』


携帯を閉じポケットに入れる。


「ううん。ぜんぜんいーけど、何かあったの?」


『いや、今度の走りの時のことについてだから何かあったわけじゃねぇ。』


「そっか。今度の走りいつ?てか家に帰ろ?ここに立ってても意味ないしね!」


『そーだな。走りは今週の土曜になった。』


俺の手を握り歩き出した矢耶の後についていった。


ガチャ―――――………


鍵を開けて家に入る。


「これからずっと一緒だね!帰る家も一緒かぁ…。」


靴を脱ぎながら話し掛けてくる。


『靴はちゃんと揃えろよ。
てか、一緒………嫌なのか?』


靴を持つ手を止め

「何言ってんの?嫌なわけないじゃん!むしろ夢みたい!藍と一日中一緒に居られるんだよ?嬉しすぎる!」


と言い、抱き着いてきた。
それを受け止め、軽く頬にキスを落とした。


「くすぐったいよ〜」


まだ俺は靴を履いてることに気付いた。


矢耶を一旦離して靴を脱ぐと
直ぐさま矢耶を抱き上げた。

矢耶と俺は30㌢も差がある。

だから矢耶を抱き上げること、いわゆるお姫様だっこは簡単だ。


矢耶は俺の首に腕をまわしちゅっとリップ音をたてて唇を重ねてきた。
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