溺愛キング
「あお――…」


矢耶の甘い声が俺を狂わせる。

何度も髪を撫でてやる。

覆いかぶさる様に矢耶に跨り上から見下ろす。

ほてった顔が赤く染まり潤んだ瞳が俺をとらえる。

見つめ合う俺ら。

撫でていた手を頬に移し、親指で目の下の辺りを何度も撫でる。

まるで壊れ物を撫でる様に…

こんな時間がずっと続けばいいと思う。

だからか、無性に目の前に居る矢耶が何処かに行きそうで消えていきそうで


『なぁ、矢耶は俺のだよな?何処にも行かねぇよな?いや、いなくなっても絶対に見つけだす。つか、その前に手錠で繋ぎとめとく。何処かに閉じ込めておく。』


俺らしくない小さい声で思わず口にしてしまった。

くすくす笑いながら

「藍、それ犯罪だよ?」

って、甘い雰囲気だったのに、明らかそこは笑うとこじゃねぇよな?

真剣に言ってんのに

真顔な俺に気付いたのか

「藍、そんな顔しないで?
矢耶は何処にも行かない。
藍から離れることは一生ないよ。藍は矢耶の全て。」


これ以上ない言葉をくれた。
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