執事様、優しく教えて！

「ひより様！」



「梗弥(きょうや)！」



お屋敷の裏庭からこっそりと外へ出ようとしていた私は

執事の梗弥に呼び止められた。



「どこへ行かれるのですか？」



あーん、あと少しだったのにぃ！



「今日は見逃して？お願い！！」



わざとウルウルさせた瞳で梗弥を見つめた。



「だめですよ、あなたは大事な五十嵐財閥のお跡継ぎです。

ひより様を一人でお外に出して危険にさらさせる訳にはいきません」



梗弥はほんっと融通が利かないんだからっ！



「もう！外に行く位好きにさせてよっ！」



「ここ最近でもう13回目の脱走ですよ？

お屋敷を抜け出してどこへそんなに行かれたいのですか？」



「・・・・街へ…行きたいの！」



「それなら私も一緒に…」



「それじゃぁ意味が無いのっ！」


「急にどうしたのですか？

街に一体何があるのです？」



「………」