気まぐれ短編集
「あ、どうも…」
あまりのキツさに耐えかねて、遠慮する余力などなかった。
素直に代わってもらって座席に座る。
ふぅー…。
ありがたい…。
プシューッと降車専用ドアが開いて、人が流れていく。
「それじゃ。」
それだけ言うと、さっきの男子は人を分け入って行く。
「あ…っ」
彼は定期を見せて降りて行った。
ちゃんとお礼言えなかったや…。
今度会ったらちゃんとお礼言おう。
『次はー、◯◯町1丁目ー。お降りの方はーお知らせください』
バスのアナウンスが流れた。
あ、ボタン押さなきゃ…。
そう思って腰を浮かせようとした。
すると、頭上に影が。