気まぐれ短編集
髪は全体的に黒く長めで、やわらかそうな前髪が目の上にかかっていた。
微笑んだとき、目が細くなっていた。
骨ばった大きな手と綺麗な指先。
制服を着ていてもスタイルの良さが伺えた。
ほのかに匂ったミントみたいな香り。
そして、あの紳士的態度。
かなりポイント高いところを当てていたと思う。
不意に、自分と『ヨウ』先輩が手を繋いでいるシーンを想像してしまった。
手は温かいんだろうなー、とか。
なーんて。
そんなこと考えてどうするんだか。
私はかぶりを振って家に向かって歩きだした。