気まぐれ短編集
ドキッ、と胸がざわついた。
「やっぱり今日話したんだ…」
ゴロンと寝返りを打って、うつ伏せの状態で上半身を起こして携帯の画面をしげしげと眺めた。
『話した』って、どっちだろう…。
先輩のほうは『話した』と言うより、『話し掛けられた』の方がしっくりする。
だとしたら、あの日に焼けた元気そうな彼?
あー…
先輩の印象が強過ぎてもう一人のほうはあんまり思い出せない。
まぁ、どちらにせよこのメールへの返信に困ることには変わりない。
「どう返すべきか…」
とりあえず、無難に…。
《そうだね。
改めて、よろしくお願いします(。・ω・。)》
こんなもんかなぁ。
最後が丁寧語になっているあたり、自信の無さが窺えるビミョーな文章。
いいや。
一応コレを送ったらまた何か反応があるかもしれない。
そう思って、送信。