気まぐれ短編集
キッチンに行くと、スープが出来上がっていた。
翼くんが二皿持っていく。
「これお願いね。」
あたしも二皿持っていく。
テーブルにスープの区画として並べる。
人数が多いから先生の家でのクリスマスパーティーは立食形式でするんだ。
それから、ぼちぼち小学生の生徒たちがやって来てパーティーを始めることになった。
「はーい、じゃあメリークリスマス!」
「メリークリスマス!」
先生の音頭でグラスに入ったシャンメリーで乾杯する。
キンキン、と小さな鐘のような音がグラスをぶつけ合うことで鳴る。
あたしはグラスをあおってシャンメリーを流し込む。
冷えたシャンメリーがチリチリと喉と舌を刺激した。
「みんな、食べながらピアノ弾いて歌いましょう。」
先生がリビングのアップライトピアノのフタを開けながら言う。
わぁっとみんなが歓声をあげた。
みんな思い思いの物を取り皿に盛って頬張りだした。
「トップはサヤカちゃんね。お願い。」
先生の指名に小学1年生のサヤカちゃんは、びくっと肩を震わせると立ち上がってピアノに近付いた。