気まぐれ短編集
サヤカちゃんは、先生とふたりでピアノの椅子に座って鍵盤に手をかざした。
先生はサヤカちゃんの顔をちらっと見てにこっと笑うと、ジングルベルの前奏を弾きだした。
♪ソミレドソー、ソソミレドラー、ララファミレシー、ソラソミドレー♪
先生の伴奏に合わせてサヤカちゃんが右手だけでメロディーを弾く。
あたしたちはそれに合わせて口ずさむ。
食も進みながら、演奏も若い(笑)順にクリスマスソングを弾いていく。
あたしの番は、だいぶ食が終わりかけたときだった。
あたしはお手拭きで手を拭うとピアノ椅子に座って楽譜を開いた。
おととい先生に借りた楽譜の曲は、ジャズ風にアレンジされていた。
深呼吸して、指を鍵盤に滑らせる。