気まぐれ短編集
翼くんに褒めてもらえるなんて、天にも昇る思いだ。
「あ、ありがとう。」
火照る頬を自分の両手で包みながら翼くんに笑った。
翼くんも、ちょっと顔を紅くして「ハハっ。」と笑った。
あたしは、そんな彼と話している自分は何て幸運な女の子なんだろう、と思う。
きっと、同級生だったとしても、ピアノの繋がりがなかったらこんな風に笑い合えてなかったんじゃないかな。
好き。
好き、すき、スキ。
今にも溢れそうな、このあったかい気持ち。
好きだ。
「…すき。」
「…え」
ぽろっと、いつのまにか口に出していた。
翼くんは驚いてあたしの顔を目を見張って見る。