気まぐれ短編集



「好き、なんだ。翼くん。」



精一杯翼くんの目を見て言ったけど、やっぱり耐え切れなくて言い終えたときに目をつぶってしまった。



ちょっと目をすがめて周りを見ると、わ…とちびっ子たちが顔を赤くしてあたしたちを見ていた。


『人生初・告白の現場に遭遇☆』って感じだよね。笑




すると、翼くんは急に俯くとあたしの手首を掴んでリビングの外に出された。


「キャー!!」と、おませさんな小学生の女の子たちが悲鳴をあげて喜ぶ。

「こらこら、邪魔しない。」

と、先生が生徒たちをいなすのがドアが閉まる直前に聞こえた。


先生、感謝です。




「…翼くん?」


あたしは廊下で立ち止まった翼くんの背中に声をかけた。





「ずるいよ、万里ちゃんは…。」



翼くんは変わらずあたしに背を向けたまま俯いて言う。


あたしの腕は握ったままだ。



すごく、あつい。










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