気まぐれ短編集
4:





校庭の梅の花がほころび甘美な薫りが風に運ばれる3月1日。



春特有の強い一迅の風が校庭の間を吹き抜ける。



卒業を祝う声があちらこちらでする。




たくさんの生徒の中でも何故か目を引く少女がいた。




絹の紅いリボンをした制服の黒いセーラー服で華奢な身体を包み、滑らかな長い髪が風になびく。






彼女の頬を冷たい液体が伝う。





その雫は、誰にも拭われることもなく、地面に落ちた。





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