気まぐれ短編集
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「な、愚か者よ。俺が一緒に行ってやっていいわよ。」

「…うっせえ、キショい」


目の前の、頬杖をついて上目遣いで気色悪い猫撫で声を出しているのは、今月始めまでクラスメイトだった男だ。

目立って校則違反をする奴ではなかったが、元々そんな雰囲気が出ていたから、卒業の後に短めの黒かった髪が黄金色の稲穂のような色になっていてもさほど驚かなかった。

むしろ、ピアスの穴を空けていないことに驚いたくらいだ。


ピンポーンと奴がテーブルの備え付けのボタンを押す。

「追加注文ね。ココア、ホットで。」


奴の風貌にビビりながらやってきたウェイトレスは注文を聞いて、注文したものが意外だという顔をして去って行った。


そりゃそうだろうな、こんな金髪頭があんまいココアなんか頼んだら。



「なーんでフっちゃったのかねぇ、皓(こう)?」


まるで俺を試すかのような挑戦的な目で見てくる。


「お前には関係ない」


キッパリ言うが、奴は「フーン」と言って鼻の頭をこすった。


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