気まぐれ短編集
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『好きです。……付き合ってください。』



俺、高校2年生。2月14日、世に言うバレンタインデー。
普段あまり人通りのない校舎の陰。



俺と彼女の関係は超ベタにバレンタインデーに始まった。



彼女は2年から同じクラスではあるが、喋ったことはなかった気がする。


だから少し、いや、かなりびっくりした。



『…えっと、俺らって喋ったことない、よね…?』

『うん、ないよ。だからね、お互い知らないことの方が多いと思うんだけど、これから知り合っていけたらなー……なんて』


彼女は顔を真っ赤にさせてはにかんだ。


『あたしはもう皓くん、のこと好きだよ。だけど、皓くんがあたしのことをそんな風に見たことがないっていうのも分かってるの。』


確かに、俺は彼女はクラスメイトとして認識していただけだった。だからといって、きっと頑張って告白してくれたに違いない彼女の気持ちを想うと、ふいにしてしまうのもかわいそうというか申し訳ないというか、嬉しいかったしそんな彼女がかわいくて。

そんな気がしたので、



『……じゃぁ、友達からはじめてみよっか…?』



そう使い古された常套句(用途は真逆だが)を言うと、俯いていた彼女は顔を上げるとそれを輝かせた。











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