気まぐれ短編集
《不発弾“だいすきです”》
何もせんでまったりしたいねーって言って
ショッピングモールのゲーセンの前のベンチに座って、ぽつぽつ、ゆっくり他愛ない話して。
もうすぐ帰る時間になって。
まだ、この頃はあたしを名前では呼んでなくて
あんたは、ポツリとあたしの名字を呼んで
ん?って聞いたら
“あのね、だいすk…ッ”
照れ過ぎてあんたは、自分で吹き出したよね。
顔とか真っ赤っかで、手は繋いだまんまで。
でも、言いたいことはしっかり伝わったけ
ー…うん、好きよ。
って、あたしも言った。
この時は不発に終わったけど、
いつかちゃんと聞きたいね。