water color
なのに。


あの事故を避けることは出来なかったんだろうか?
あれは、だれの責任なの?

問い詰めても答えの出ない問題。

きっかけは……そう、きっかけは小さなものだった。


「慎二、ちょっと待って。靴ひもが……。」
「おぅ、分かった。ゆっくり結びな。」

そういってあたしがしゃがんだのと、慎二があたしをかばうように立ったのは一緒だった。

居眠り運転で蛇行しながらつっこんでくる車を見たのも。

慎二が、あたしをかばってくれたのも。


ほんの数秒の出来ごと。



そのあとのことを、よく覚えてはいない。
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