【COLORS②】1/2あっぷる!
ガチャ
再び扉が開いた時、さっき鍵を持って入った男と、
もう一人別の男が一緒に出てきた。
「……父さん」
私は顔も知らないのにその男に呼びかけていた。
「クラリス」
声に反応してくれた男はどうやら父さんで間違いないらしい。
しかし、紅皇が言っていたもう一人の男、
『ドクターキリト』の姿が見当たらない。
「すまない。私のしたことは間違えていた、愛する娘を犠牲にしてまで権力を得ようとするなんて……許してくれ」
父さんは床に手をついて私の目の前で跪いた。
「顔を上げてよ。私、もう怒ってないから」
「……クラリス。許してくれるのか」
「許すもなにもさっきも言った通り、私は初めから怒ってないって言ったでしょ。だから……」
私は右手を差し出した。
「一緒に帰ろう、母さんのいるところに」
「ありがとう」
ゆっくりと差し伸べてくれた父さんの手がとても温かった。