【COLORS②】1/2あっぷる!
「ただいま~」
今日も一日かったるい仕事が終わった。
時計を見れば……午前二時。
こんな時間じゃ、眠気も通り越してただただ残るのは疲労感だけ。
「お帰りなさい、林檎」
「かあさん……起きてたんだ」
俺……いや私の本当の名前は『種無林檎』(たねなしりんご)、十六歳。
今年高校生になったばかりなのです。
「お茶入れたの、どう?」
「あ……うん、ありがと」
カタ……ッ
こんな時間まで起きていてくれた母親には感謝だけど……
「ハァ――ァ」
今は溜息しか出ない。
湯呑に中に映る自分の姿は溜息の塊、その根本とも言える。
「これも運命なのかしらね?」
私の姿を見かねた母親が言った一言。
『運命』――
こんな言葉でまとめられるのも、なんだか癪に障る。
しかし私が夜になると『女』から『男』に変化してしまうのは、
ある掟に従ったからなんだ……