お庭の晋作
居候(いそうろう)

別れの京都

時は明治


廃刀令により、人を斬ることを職としてきた侍たちは途方に明け暮れる日々をおくっていた


辻斬りをし人の肉を喰らう腐れ侍


店を襲い、金を奪う外道


暗殺依頼をうける殺人奇


江戸時代より酷い世の中になってしまい、明治政府に反感する人々が徐々に増えていった




京都は異臭と死体により、無惨な光景になってしまった


『京都には近づくな』


いつしか京都に住む者はいなくなった


そんな京都に向かって歩く二人がいた


一人は60過ぎたぐらいのご老人


一人は忍服をきた赤黒い髪をした少年


少年「ここは……本当に京都か?」


赤黒い髪をした少年が60すぎぐらいのご老人に聞いた


ご老人「そうでございます」


老人はゆっくりと顔をあげ、少年の目をまじまじと見ながら答えた


少年「宿はあるかな?」


赤黒い髪をした少年は、ふつうの刀より少し短めの刀、小太刀を抜いてはしまいを繰り返しながら聞いた


ご老人は、首を振りながら、ある一軒の家を指さした


「宿はおろか、誰も住んではいないです、あの家が最後の住人となります」


言い終えると、ご老人は元の道を帰り始めた


少年「道案内かたじけない、名を知りたい」


少年はご老人の方を振り向かずに言った


ご老人「倉三(くらぞう)あんたは?」


ご老人も振り向かずに言った


少年は、クナイを指に挟み


少年「俺は有馬晋作(ありましんさく)、元御庭番衆」


と言った
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