お庭の晋作
井戸のまえで男二人のいざござがおきていた


男「お、お助け下さい…この通り、なんでもしますんで命だけは…お願いします…」


組子分「聞こえへん、聞こえへん。人の縄張りで洗濯するとはいい度胸だおんどれは」


男「い、井戸だけは使わせてくれる約束だったじゃないですか…」


組子分「あー、井戸は使っていいが、敷地には入らない約束だったぜ」


男「そんな…ひどすぎる…」


組子分「問答無用、覚悟せい」


組子分は刀を振り上げた


組子分「死ね」


組子分は、男の頭のうえで振り下ろそうとした


その時


晋作「縄張りとかアホくさ、ありんこかよお前は」


組子分の手が止まった


「お前、見掛けない顔だなー。口きーつけんと長生きできねーぜ餓鬼」


晋作「俺は思ったことをいっただけだ、正論だ。まぁもっとも、ただ人斬るしか脳のない田舎侍にはわからないだろうけど」


組子分「ごちゃごちゃうるせーよ餓鬼」


組子分はもの凄い早さで晋作に襲いかかってきた


晋作は小太刀を抜き、構えた


晋作「あんたこそ口の使い方にきをつけな」


組子分「じゃかしい、覚悟ー!!!!!」


スパーン


晋作「遅い」


勝負は一瞬にしてついた


組子分の両手が切り落とされていた


組子分「あっあ……俺の手が……俺の手が……」


晋作「死ね」


晋作は組子分めがけて刀を振りおろした


カキーン


組子分の前で、あの殺されかけた男が刀をだし、晋作の小太刀をとめた


男「お引き下さい」


さすがの晋作も動揺した


晋作「なぜ邪魔をする?お前はこいつに殺されかけてたんだぜ」


殺されかけた男はひたすら『お引き下さい』と言うだけだった


晋作「なにがなんだかわかんねー。助けなきゃ良かったわけ?」


晋作は小太刀を引いた
その途端組子分は自分の両手を抱えて走り去ってしまった


晋作「あーあ、逃げちゃった」


男「これでいーのです」


そう言うと、男は井戸の水で洗濯を始めた
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