白神
白い死神

1





吹き抜ける風



目に映るのは、青い空



目下は、深い川。



向こうには海も見える。



ブルーに塗られた柵に足をかけた。



季節は冬。



時間は朝方の4時。



わざわざ車も誰も居ない時間帯、この橋に来た。



夜明けと共に川に落ちよう。



重いダッフルコートが、ヒラヒラと舞っている。



わざわざダサい紺の制服を着てきたのは、私の死体の身元をわかりやすくするため。



さっさと、葬式上げて、さっさと忘れてくれればいい。



それに、制服のほうが水に濡れて重くなる。



もう、おわかりよね。



私、今死のうとしてるの。





< 1 / 19 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop