白神
「………よし、こうしよう!」
沈黙を破ったのは彼のほう。
「1日だけ、自殺の日を延ばそう。そうしたら、僕も邪魔しないから。その代わり、今日1日僕に付き合ってくれない?」
は?
「何言ってんの?」
思わず拍子抜けした私。
「さ、そうと決まれば………。」
フワッと、体が浮かんだ。
「わっ。」
気付いたら橋の上。
あんな貧弱で細ッこい体の何処に、人一人持ち上げる力があるんだ。
「ゲームセンターに行こうっ!!」
彼は無邪気に笑って言った。
ぐんぐん私の腕を引っ張る。
「はぁ!?ちょっと、私はまだ………。」
やっぱり貧弱そうでも、男だからか、私は腕が振り払えなかった。
気づきもしなかった。
さっきの言葉が、あんたを傷つけてたなんて。
それを知ったのは、ずっと後のことだけど。