白神
「そんなこと言わないでさ、撮ろうよ、プリクラ。」
沈黙を破り、ね?と言う彼。私は、渋った。
「私、死ぬし。写真ってあんま好きじゃないし。プリクラむしろ嫌いだし。」
自殺する前にプリクラ撮るって………。
どんな奴だよ私。
「生きてた証拠にならない?」
そんなこと言いながら、彼は既に私を引っ張っている。
「私は、生きてた証拠なんて要らないから。」
むしろ、それを消すために死ぬようなもの。
世界から消えて、誰の心にも残らず、形跡さえも消えてしまいたい。