地味子の初恋


その視線と声にゾッとして、ビクついた。

昔から瑠稀のその冷たい視線は、あたしを動かせなくする。

黙らせる。

嫌で、嫌でしょうがないのに抗うことができない。

こんな自分が大嫌いでしょうがない。

「くっ…まあ、これからも可愛がってやるから安心しろよ」

おかしそうに、不敵な笑みを浮かべた。

あたしに命令した後、瑠稀はよくこんな顔をする。

あたしが従うって、何も言わなくても分かるから

何も言えないあたしを馬鹿にするように。


せっかく、必死に勉強して高校に入ったのに。

今度こそ、瑠稀のいない世界で平和にひっそりと暮らせると思ったのに。

あたしの努力は、意味のないものへと変化した。

これからのことを考えると、吐き気がした。

嫌でしかたがなくて、泣きそうになったのをなんとか耐えた。

泣いてたまるか。

これからは泣くことを我慢する生活になるのかな。

「おい、何ノロノロしてんだよ。さっさとしろ」

あたしより先に歩いてた瑠稀が、距離を空けていたあたしの方を振り返った。

「え…一緒に行くの?」

できるなら一緒に行きたくない。

「は?おまえ馬鹿かよ。一緒の学校行くなに、別々に行く必要あるのかよ。その、がり勉みたいな身なりは飾りかよ」

ハッと、馬鹿にしたような乾いた笑みを浮かべた。


「………」


奴隷って、またパシリにされるってことだよね?

それだけで嫌なのに、登校も一緒だなんて気が遠くなる。



< 12 / 46 >

この作品をシェア

pagetop