地味子の初恋
その視線と声にゾッとして、ビクついた。
昔から瑠稀のその冷たい視線は、あたしを動かせなくする。
黙らせる。
嫌で、嫌でしょうがないのに抗うことができない。
こんな自分が大嫌いでしょうがない。
「くっ…まあ、これからも可愛がってやるから安心しろよ」
おかしそうに、不敵な笑みを浮かべた。
あたしに命令した後、瑠稀はよくこんな顔をする。
あたしが従うって、何も言わなくても分かるから
何も言えないあたしを馬鹿にするように。
せっかく、必死に勉強して高校に入ったのに。
今度こそ、瑠稀のいない世界で平和にひっそりと暮らせると思ったのに。
あたしの努力は、意味のないものへと変化した。
これからのことを考えると、吐き気がした。
嫌でしかたがなくて、泣きそうになったのをなんとか耐えた。
泣いてたまるか。
これからは泣くことを我慢する生活になるのかな。
「おい、何ノロノロしてんだよ。さっさとしろ」
あたしより先に歩いてた瑠稀が、距離を空けていたあたしの方を振り返った。
「え…一緒に行くの?」
できるなら一緒に行きたくない。
「は?おまえ馬鹿かよ。一緒の学校行くなに、別々に行く必要あるのかよ。その、がり勉みたいな身なりは飾りかよ」
ハッと、馬鹿にしたような乾いた笑みを浮かべた。
「………」
奴隷って、またパシリにされるってことだよね?
それだけで嫌なのに、登校も一緒だなんて気が遠くなる。