地味子の初恋
「おまえ、相変わらずグズでノロマだな」
そう言って、あたしの手を掴んだ。
「わ、わかったから離して…」
言いにくくて、視線を反らして言う。
瑠稀は不満だったのか、不機嫌そうな表情を浮かべた。
「…嫌なら、さっさとしろよ!」
苛立ちを表すように、小さく舌打ちをして踵を翻す。
「…っ!」
ここで立ち止まってしまいたかったけど、従わないと何を言われるかわからない。
あたしは、重たい足取りで歩きだした。
幼い頃は、瑠稀のこと嫌いじゃなかったから瑠稀をイライラさせないように努力した。
だけど、何をしても瑠稀は気に入らないみたいで怒りだす。
瑠稀に迷惑かけないよう、他の子といると瑠稀は怒り出してもうその子はあたしにあたしに話しかけてくることはなかった。
成長すればするほど、瑠稀はあたしが何をしたってイライラするんだと気づいた。
だからもう何もしないことにした。
それは今も変わらないんだ。
瑠稀はあたしの全てが嫌なんだ。
そんなことを考えていると、駅に着いた。